マンション管理組合の監事は、管理組合の「業務の執行」や「財産の状況」を監査し、その結果を総会に報告しなければならない、ことが国土交通省が作成している「マンション標準管理規約」で定められています。
また、監事に限らず、マンションの区分所有者の皆様は自身が所有するマンションの管理組合の資金が(皆様から集めた管理費や修繕積立金が)きちんと管理組合の決算に反映されていないか、少なからず心配することもおありかと思います。
一方で、会計に関する知識不足から決算書を見てもよく分からないことからチェックすること自体おっくうであったり、誰かがチェックしているだろうからとりあえずいっか、といった気持ちから、そもそも決算資料を見ない若しくはなんとなく(最もとっつきやすい資料であろう)「収支報告書」をさらっと、眺めてお終いにしている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
本日は、監事が決算の監査を行う際、又、区分所有者の皆様が決算書をチェックする際のポイントを解説します。
最初に申し上げておくと「収支報告書」を見るだけでは全く意味がありません!!
マンション管理組合は通常の企業とは違いますので「収支」(業績)は重要ではなく、重要なのはマンションの管理や将来の大規模修繕等のために区分所有者の皆様から集めた『現預金』だからです。
Step1.「現預金の残高をおさえる」
「決算資料上」の現預金の残高と「通帳上」の残高が一致することを確認する
単純なことですがこれが一番大事です。何よりも一番大事です。
管理組合の理事ないしは管理会社が管理組合のお金を横領していたことから、決算資料上の現預金の残高が実際の残高と異なっていた、、といった事例を耳にすることがありますが、決算の都度「決算資料上」の現預金の残高と「通帳上」の残高が一致することを確認さえしていれば、少なくとも決算資料上の現預金の残高をごまかして(管理組合の現預金の減少を決算に反映しないことによって)横領を隠蔽するといったことはできなくなります。
決算資料上の現預金の残高は「貸借対照表」によって確認できます。預金通帳は通常、管理会社が管理していると思いますので、管理会社から取り寄せましょう。自身で確認を行わないまでも、当該確認を実施したかどうか、理事会や総会の場で監事に確認してみましょう。
現預金の残高が正しく決算資料上に反映されていることをおさえてしまえば、あとは、Step2、3の方法によって「本来は存在しない取引を装った」現預金の流出が無いかどうかを確認することで、管理組合の現預金を守ることができます。
Step2.「想定外の費用がないか確認する」
「予算資料上」の費用支出内容と「決算資料上」の費用支出内容を比較する
「決算資料上」の費用支出明細を確認する
Step1.では、現預金の横領をそもそも決算に反映しないことによる(隠蔽することによる)不正防止をおさえましたが、Step2、3では、本来は存在しない取引を装って(本来は存在しない取引を決算に反映することによって)現預金の横領が行われることをおさえます。
現預金の横領が発覚しないよう、決算資料上の現預金の残高は実際の残高とあわせるものの、本来は存在しない取引を装って横領を行う場合、決算資料のどこかに必ず「歪み」が生じます。その歪みが生じるであろう一つが費用の金額です。横領を実際には存在しない費用として装うためです。皆様の認知していない費用項目や、認知しているものの金額が想定と異なる場合には要注意です。
予算資料も決算資料も通常、定期総会招集時に事前に区分所有者の皆様に配布されます費用の内容・金額は「収支報告書の支出欄」、又、より詳細な費用の内訳内容は「勘定科目内訳書」等で見ることができます。
Step3.「資産の増加が無いか確認する」
前期と当期の資産計上額を比べて、資産の増加が無いか確認する
Step2.で述べた「歪み」が生じやすいもう一つの項目が資産です。横領による現預金の減少を実際には存在しない何らかの架空の資産とすり替えるためです。皆様の認知していない資産項目や、その資産項目が二期連続で存在している場合には要注意です。そもそもマンション管理組合の決算で多額の資産が出てくること自体が稀なことです。
資産の計上金額は「貸借対照表」や「勘定科目内訳書」等で見ることができます。
以上の3Stepだけで全ての不正を発見できるわけではありませんが、強力な牽制になることは間違いありません。
ぜひ試してみてください。