税務確定申告

マンション管理組合の収益事業に係る対応費用の考え方

メモ

  • 収益事業に係る費用は、収益事業に直接要した費用(直接費)と収益事業/非収益事業に共通する費用(共通費)とからなる
  • 共通費は、合理的な基準により按分した金額を収益事業に対応する費用とする

マンション管理組合の決算は、形式上一つの管理組合の決算として作成されます。
しかし、携帯基地局の設置や駐車場の外部貸し等を行うことによる外部収入すなわち「収益事業」がある場合には、マンション管理組合の決算から「収益事業」にかかる収益と費用を抜き出して「収益事業」のみの決算を行う必要があります。
そして「収益事業」の利益(所得)について、税法のルールに従って確定申告を行い、税金をおさめる必要があります。

それでは、どのようにして、マンション管理組合の決算から「収益事業」にかかる収益と費用を抜き出せばよいのでしょうか?

 

step
1

まずはじめに、収益の抜出しについては「収益事業」にかかる収益 = ❝外部収入❞ であることから、基本的に判断に迷うことはありません。
マンション管理組合の収入のうち、マンションオーナーから徴収する管理費以外と考えていただいてまず問題ありません。
* 例えば、駐車場を居住者・外部者の両方が利用している場合等の特定の状況においては、当該駐車場収入は外部収入に該当しないといった例外はあります

 

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2

一方で、費用の抜出しについては一口に費用といっても様々な費用が存在することから、マンション管理組合で発生する費用を「直接費」と「共通費」に分けて考える必要があります。それぞれの定義/取扱いと具体例は以下の通りです。

直接費の例 共通費の例
・携帯電話基地局やインターネット設備等の電気料(メーター別管理の場合)*
・外部貸し駐車場の募集に要した広告費や維持メンテナンスに係る費用
・税務申告のための税理士報酬
・携帯電話基地局やインターネット設備等の電気料(メーター共通の場合)*
・住居者と非住居者の利用が混在する駐車場の維持メンテナンスに係る費用
・管理会社に対する管理委託料

*取引先による補填がある場合、当該補填額分は費用になりません

直接費 = 収益事業に直接紐づけることが出来る費用 ⇒ 全額を費用としてカウント

共通費 = 収益事業/非収益事業に共通する費用 ⇒ 収益事業対応額のみ費用としてカウント(Step3参照)

 

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3

費用について直接費と共通費の選別が終わったら、最後に「共通費のうち収益事業に対応する金額」を算定します。この算定方法については、明確な決まりが無いことから、各マンション管理組合の状況に応じて、実態に即した方法や実務上適用可能な方法(収益事業の収入額と非収益事業の収入額の割合による按分など)により実施する必要があります。

参考 法人税法基本通達15-2-5(2) 抜粋

「収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用の額は、継続的に、資産の使用割合、従業員の従事割合、資産の帳簿価額の比、収入金額の比その他当該費用又は損失の性質に応ずる合理的な基準により収益事業と収益事業以外の事業とに配賦し、これに基づいて経理する」

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