税務確定申告

管理組合における確定申告の流れ ~初めて確定申告を行う場合~

 

今回は、従前から収益事業による所得がありながらも、これまで確定申告を行っていなかった管理組合様が初めて確定申告を行う場合の流れをご説明します。

 

 

基本的に、税理士が作成した確定申告の内容を管理会社経由で管理組合様の定期総会に諮り、承認いただいた後に申告書の提出と税金の納付を行いますので、管理組合員様の側で協議・検討を要することは御座いませんのでご安心ください。

 

【事前準備 -決算まで-】

「業務委託契約」の締結

『定期総会』もしくは『臨時総会』で、管理組合の収益事業について、確定申告を行うこと及びそのために税理士と「業務委託契約」を締結することを決議します。

確定申告の実施及びそのために税理士と「業務委託契約」を締結するためには、管理組合の総会における決議が必要とされているケースが殆どと思われます。

そのため、『定期総会』のタイミングで、翌事業年度から確定申告を行うこと及びそのために税理士と「業務委託契約」を締結することを決議するのが一般的と考えられます。

一方、定期総会のタイミングでは議案に入れていなかったものの、進行事業年度から確定申告を実施する場合には『臨時総会』で決議することも考えられます。

総会での決議時に必要となる情報等(「業務委託契約」の内容、お見積り、税金納付額の概算額)は税理士にて無料で作成いたします。

 

 

税務署への必要事項の届出

初めて確定申告を行う場合には、以下の書類を税務署に届出る必要があります。

 

必要な届出

(A)「収益事業開始届出書」

(B)「申告期限の延長の特例申請書」

(C)「青色申告の承認申請書」

(D)「電子申告・納税等開始届出書」

 

以下、それぞれの書類の内容について簡単にご説明します。

 

(A)「収益事業開始届出書」

管理組合が実施する収益事業の種類、当該収益事業を開始した日、代表者(理事長)等の基本情報を届け出るもので、税務署の事務管理のために必要となる書類です。

 

 

(B)「申告期限の延長の特例申請書」

原則として確定申告書の提出と納税は決算日から2か月以内に実施する必要があります。但し、管理規約で定期総会の開催が決算日から3か月以内とされている場合など、決算日から2か月以内には決算が確定しない場合には本特例申請により、確定申告書の提出と納税の期限を決算日から3か月以内に延長することが可能です。

従って、本特例申請は管理組合の定期総会の開催スケジュール次第で必要に応じて提出することになります。

 

 

(C)「青色申告の承認申請書」

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。このうち、「青色申告」にはいくつかの恩典が与えられており、そのなかでも重要なものは「欠損金の繰越控除」と「欠損金の繰戻還付」です。

 

欠損金の繰越控除とは

「欠損金の繰越控除」は、万が一、特定の事業年度に収益事業から損失が発生した場合に、当該損失を翌事業年度以降の所得と相殺することにより、翌事業年度以降の税額を減額することが可能になる恩典です。

 

欠損金の繰戻還付とは

「欠損金の繰戻還付」は、万が一、特定の事業年度に収益事業から損失が発生した場合に、前事業年度に納税した税金のうち当該損失に相当する税額を返還してもらえる恩典です。

 

マンション管理組合の収益事業から損失が発生することはあまり想定されませんが、万が一の場合に備えて申請しておくことをお勧めします。

 

 

(D)「電子申告・納税等開始届出書」

確定申告書の提出は紙で提出することが原則ですが、届出により電子データで提出することが認められています。

紙で提出する場合の郵便費用や税務署に持参するための交通費を削減するべく本届出を実施することをお勧めします。

 

 

【事前準備 -決算-】

収益事業の決算作成

収益事業の売上高や経費等の計算により、年間の収益事業の利益を算出します。収益事業の利益は「一般会計」から収益事業に関連する収益や費用を集計することにより実施します。

確定申告実施の有無にかかわらず、「一般会計」及び「修繕積立金会計」の決算は管理会社の側で実施していますが、確定申告を実施する場合には、「一般会計」の決算を収益事業と非収益事業に分ける必要があります。

収益事業の決算は、管理会社が実施する「一般会計」の決算作業が完了次第、税理士が実施します。

 

 

【確定申告】

税額の計算と確定申告書の作成

収益事業の決算に基づき税理士が税額の計算と確定申告書の作成を行います。

従前から収益事業による所得がありながらも、これまで確定申告を行っていなかった場合には、過去5年および当事業年度の計6年分それぞれの税額の計算と確定申告書の作成を実施します。

税額の計算結果と確定申告書のドラフトを定期総会までに作成して、定期総会の議案として管理組合の決議に諮られます。

 

 

管理組合の承認

税理士による税額の計算結果と確定申告書のドラフトを定期総会で審議のうえ、承認します。確定申告の内容等に関する疑問点等は、このタイミングで質疑応答のやり取りを実施させて頂きます。

 

 

確定申告書の提出と税金納付

定期総会により管理組合様の承認後、税理士が確定申告書の電子申告と税金の納付を実施します。

 

 

従前から収益事業による所得がありながらも、これまで確定申告を行っていなかった(無申告/申告漏れの)管理組合様が初めて確定申告を行う場合の流れは以上の通りです。

 

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